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平凡なアイデアしか出せない理由と解決方法【1】思い込み

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なぜ、平凡なアイデアしか出せないのか?

イデア発想会(みんなで集まってアイデアを考えようという会)で、「平凡なアイデアしか出せない」という悩みを聞くことがあります。

「出されたアイデアは平凡なもの、これといったすぐれた特色もなく、誰でも考えつきそうなものばかりだった」という経験を聞くこともあります。

なぜ、平凡なアイデアしか出せないのでしょうか?

主な理由として、次の3つが考えられます。

  • 理由1:「自分にはできない」と思い込む
  • 理由2:今までの惰性(だせい)で考える
  • 理由3:発想の切り口少ない

3回にわけて、3つの理由とそれぞれの解決方法を説明していきたいと思います。

1回目の今回は、平凡なアイデアしか出せない理由1とその解決方法を説明します。

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図1.平凡なアイデアしか出せない3つの理由

 理由1「自分にはできないと思い込む」

ここでは、アイデア発想会でのシーン場面)を使って説明したいと思います。よくありそうなシーンを選びました。ご自身が、そのシーンの中にいる(アイデア発想会に参加している)ことをイメージ想像)しながら読み進めていただくと面白いと思います。

ではまず次のようなシーン(場面)をイメージ(想像)してください。

【シーン】

  • ご自身が、あるアイデア発想会に参加しています。
  • そこで、ある課題が与えられました。
  • その課題に対して、「なにか斬新なアイデアを考えてください」と言われました。

斬新とは「その発想が、きわだって新しい」という意味です。「斬新なアイデアを考えて」と言われると、「すごいイデアを要求されている」感じがするかもしれません。

そのため、その言葉を聞いて「そんな難しいことは自分にはできない」とか、「それは自分には無理だ」と考えてしまう人が多いのではないかと思います。このように考えてしまうことが、「自分にはできない思い込む」ということです。

つまり、与えられた課題に対して、次のように考えてしまう思い込んでしまう)ことです。

  • 「そんな難しいことは自分にはできない」
  • 「そんなの自分には無理だ(不可能だ)」

要求されているアイデアのレベルが、自分にとって難しくないと思われる場合は、このような思い込みは生じないかも知れません。

しかし、アイデア発想会では、「斬新なアイデア」、「画期的なアイデア」といった「すごいイデアを要求する(連想させる)」言葉がよく出てくると思います。そのため、やはり「自分にはできないと思い込む」ことが多くなると思います。

人(の頭脳)は、一度「自分にはできない/無理だ」と考えてしまうと、それより先に進めなくなってしまう、つまり、それ以上考えようとしなくなるようです。

その結果、「斬新なアイデアなど、自分に考えられるわけがない」となり、さらには「自分が出せるアイデアは(これといったすぐれた特色もない)平凡なものだけだ」と思い込んでしまうようになります。

※理由1「自分にはできないと思い込む」については、参考文献(1)の『第13章 第一の心理的障壁』を参考にしました。*1

理由1の解決方法

理由1の「自分にはできないと思い込む」ことに対しては、TRIZの発明原理という(とても優れた)ものがあることを知るだけでも効果があります。

TRIZとは、日本語でいうと「発明問題の解決理論」となります。つまり「様々な問題を解決するための理論」のことです。

発明原理とは簡単にいうと「問題の解決パターンをまとめたもの」で、膨大な特許調査などを行い作り上げられました。つまり「先人が様々な問題を解決してきた知恵」が集められたものです。

多くの特許調査と研究の結果、問題の解決方法には、いくつかのパターンがあることが発見されました。その各パターンに名称をつけ、整理したものが発明原理です。全部で40のパターンがあり、40の発明原理と呼ばれています。表1は、その一覧です。(参考文献(1)~(3)より)*2

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表1.40の発明原理

難しい(と思われる)課題を目の前にして、「自分にはできない/無理だ」と考えてしまいそうな時は、次のように考えましょう。

「自分の知識や経験だけでは無理でも、優秀な先人たちの知恵を使えば(つまり発明原理を使えば)可能になる

頭脳は、積極的(前向き)に考えることで活性化すると言われています。「発明原理を使えば、難しい課題でも何とかなる」と前向きに考えることで、「自分にはできないと思い込む」ことを克服しましょう。

では、発明原理はどこにあるのでしょうか?

どのような書籍や資料を見ればよいのでしょうか?

書籍については、発明原理だけを扱った書籍もありますが、「TRIZ関連の書籍」の中で「発明原理」や「40の発明原理」といった形で紹介(解説)されている場合が多いと思います。

それらをご覧になる場合は、本記事の「40の発明原理の一覧(表1)」を参考にしていただければと思います。

それらの書籍での発明原理の名称(1分割、2分離、…)は、表1の名称と異なる場合もありますが、基本的な並び順(番号順)はあまり変わらないと思います。

自著『アイデア発想に役立つ「発明原理コレクション」オールカラーのイラストで分かる!』(参考文献(4))もご参考にしていただければ幸いです。*3

この書籍では、全ての発明原理に「事例のイラスト(カラー)」を付けて、分かりやすく説明しています。

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書籍(キンドル本)

また発明原理は、様々なウェブサイト(ホームページ)でも紹介(解説)されています。お手軽に調べたい場合は、インターネットで検索されると良いかもしれません。

以上を整理すると、次のようになります。

【理由1(自分にはできないと思い込む)の解決方法】

  1. 「自分には、平凡ではないアイデア(斬新なアイデアなど)を考え出すことはできない」という思い込みを克服する。そのために、発明原理というものがあることを知る
  2. 「自分の知識や経験だけでは無理でも、発明原理を使えば可能になる」と前向きに考える
  3. 積極的(前向き)に考えることで、頭脳を活性化させる

人は「(自分には)できない」と思い込むと、実際にもできなくなってしまうようです。

しかし他の誰かできている様子を見ると、「(自分にも)できるかもしれない」と積極的に考えることができます。そうすると、それまでできないと思いこんでいたことが、できるようになる場合があります。

発明原理は、他の誰かが問題を解決した(できた)パターンを集めたものです。

そのパターンや事例を見て、

「なるほど、こうすれば良いのか!」

「それなら、自分はこうしよう!」

というように積極的(前向き)に考えることができれば、頭脳が活性化して、良いアイデアが思い浮かぶかもしれません。

(斬新なアイデアを考え出すといった)それまでできないと思いこんでいたことが、できるようになるかもしません。

そのためにも発明原理という「優秀な先人たちの知恵を集めたもの」があることを知り積極的に使ってみることをおすすめします。

「平凡なアイデアしか出せない」理由1と、その解決方法の説明は以上です。

次回は、理由2「今までの惰性(だせい)で考える」とその解決方法を説明します。

書籍(キンドル本)のご紹介

「なぜ、平凡なアイデアしか出せないのか?」について、【3つの理由と解決方法】を1冊にまとめた以下の書籍を出版しています。

  • 青戸けい『なぜ、平凡なアイデアしか出せないのか?【3つの理由と解決方法】』キンドル本、2019年

この書籍では、3つの理由心理的な理由テクニック的な理由に分けて解説しています。

そして、それぞれの理由の解決方法と「どのようなツール(助けになるもの)を使えば効果的か」について説明しています。

また、3つの解決方法に、どのように取り組めばよいかも説明しています。無理なく行動に移すためには、「ステップ分けて取り組む」方法が効果的です。次の2つのステップに分けることで、無理なく取り組むことができる方法をご紹介しています。

  • ステップ1:心理的な解決ステップ
  • ステップ2:テクニック的な解決ステップ

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書籍(キンドル本)

【目次】

  • 第1章  平凡なアイデアしか出せない理由
  • 第2章  解決方法
  • 第3章  どのように取り組めばよいか

よろしければ、ご参考にしてください。

*1:参考文献(1)ゲンリック・アルトシューラー『超発明術TRIZ シリーズ1 入門編「原理と概念に見る全体像」』遠藤 敬一、高田 孝夫 訳、日経BP社、1997年

*2:参考文献(2)Darrell Mann『TRIZ 実践と効用 (1) 体系的技術革新』中川 徹 監訳、株式会社 創造開発イニシアチブ、2004年

参考文献(3)日経メカニカル編集 『超発明術TRIZ シリーズ3 テクニック編「図解 40の発明原理」』、日経BP社、1999年

*3:参考文献(4)青戸けい『アイデア発想に役立つ「発明原理コレクション」オールカラーのイラストで分かる!』キンドル本、2018年