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平凡なアイデアしか出せない理由と解決方法【2】今までの惰性(だせい)

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なぜ、平凡なアイデアしか出せないのか?

「なぜ、平凡なアイデアしか出せないのか?」の1回目は、理由1「自分にはできないと思い込む」とその解決方法を説明しました。

2回目の今回は、理由2「今までの惰性(だせい)で考える」とその解決方法を説明します。

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図1.平凡なアイデアしか出せない3つの理由

理由2「今までの惰性(だせい)で考える」

ここでは、アイデア発想会でのシーン場面)を使って説明したいと思います。よくありそうなシーンを選びました。ご自身が、そのシーンの中にいる(アイデア発想会に参加している)ことをイメージ想像)しながら読み進めていただくと面白いと思います。

ではまず次のようなシーン(場面)をイメージ(想像)してください。

【シーン】

  • ご自身が、あるアイデア発想会に参加しています。
  • そこで、「アイデアを考える際には、頭を柔らかくして、柔軟に発想してください」との指示を受けました。

柔軟とは「柔らかく、しなやかなこと」または「様々な状況に対応できること」という意味ですので、この指示は次のように言い換えることができます。

「頭を柔らかくしなやかにして、様々な方法で発想してください」

皆さんなら、どうしますか?

「いきなり、そんなことを言われても…」とか、「今までは、こんなふうにしか考えてこなかった」となってしまうかも知れませんね。

私たちはアイデアを考える際に、次のような傾向を示してしまうことがあります。

  • 今までそうしていたから → これからもそうしよう」
  • みんながそうしているから → 私もそうしよう」

「今までの惰性(だせい)で考える」とは、このような傾向を示してしまうことです。惰性とは「今までの流れの勢い、習慣」という意味です。「今までの流れの勢い」に乗ってものごとを行うのはですし、効率的かも知れません。しかし、柔軟に発想したい場合は、そのような惰性はマイナスに働いてしまいます。

なぜ、マイナスに働くのでしょうか?

今までの惰性で考えると、一方通行(一定の方向だけ)で考えることになります。また、柔軟にするとは、「今まで固定されて動けなかったものを、自由に動けるようにする」ことでもあります。一方通行(一定の方向だけ)で考えていたのでは、自由に動けるようにはなりません。

このため、柔軟に発想したい場合は、今までの惰性で考えることはマイナスに働くといえます。

※理由2「今までの惰性(だせい)で考える」については、参考文献(1)の『3.3心理的惰性』を参考にしました。*1

理由2の解決方法

理由2の「今までの惰性(だせい)で考える」とは、次のように考えてしまう傾向のことです。

  • 今までそうしていたから → これからもそうしよう」
  • みんながそうしているから → 私もそうしよう」

それで、このように考えてしまう傾向を避けることが、理由2を克服する方法です。

どうすれば、この傾向を避けることができるでしょうか?

惰性とは「今までの流れの勢い、習慣」です。今までの流れの勢いに乗って考えてしまう傾向は誰にでもあると思います。そのため、このように考えてしまう傾向が(自分にも)あるということを、常に意識しておく必要があります。

常に意識している、つまり、その傾向に気を付けておくことが、最初に必要なことです。

次に必要なことは、「今までの惰性で考える」という考え方を、どのような考え方に変えれば良いか(効果があるか)を知ることです。

ここで使えるのが、40の発明原理の13番目の「逆発想」です。この原理では「思い切って、今までと逆のことをしてみよう」と考えます。例えば、「従来や通常の反対を行ってみよう」というようにです。

表1の「逆発想」では、左側の「従来や通常の考え方」を、右側の「新しい考え方」に変えています。

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表1.逆発想

Aでは、「今まで〇〇していた、それで、これからも〇〇しよう」という「従来や通常の考え方」を、「今までは〇〇していた、しかし、これからは〇〇の反対をしよう」という「新しい考え方」に変えています。
Bでは、「みんなが△△している、それで、私も△△しよう」を、「みんなは△△している、しかし、私は△△の反対をしよう」に変えています。

今までとは反対のことを行ったり、みんなとは(または普通とは)反対のことを行うには相当の勇気や覚悟が必要です。しかしここでは、いきなり「実行しましょう」と言っているわけではありません。まずは「反対のことを考えてみましょう」というだけです。

[注記]

「反対のことを考えてみる」ことと「それを実行する」ことは全く異なります。両者の間には次のステップがあります。

  • (1) まずは、様々なことを考えてみる(アイデア発想
  • (2) 次に、その中から良いアイデアを決める(アイデア評価
  • (3) そして、そのアイデアに問題がなければ実行する(アイデア実行

考えたアイデアを実際に実行するまでには、これらのステップがあることを知っておくことは大切です。

(1)の時点では「(2)や(3)のことは気にせず」自由にのびのびとアイデアを考えることをおすすめします。そうすることが、斬新な(その発想が、きわだって新しい)アイデアを生み出すことにつながっていくと思います。

 [注記おわり]

表1の逆発想を行うのは、(1)(アイデアの発想)の段階です。

この段階では、後の(2)(アイデアの評価)や(3)(アイデアの実行)のことは気にせず、自由な発想を行うことがポイントです。

以上を整理すると、次のようになります。

【理由2(今までの惰性で考える)の解決方法】

  1. 「今までの惰性で考えてしまう傾向がある」ことを常に意識する
  2. そのような傾向を避け、「今まで/通常と反対のことを考えてみる」(逆発想を行う)
  3. 逆発想を行う時は、後のこと(アイデアの評価やアイデアの実行)は気にせず、自由な発想を行う

「平凡なアイデアしか出せない」理由2と、その解決方法の説明は以上です。

次回は、理由3「発想の切り口が少ない」とその解決方法を説明します。

書籍(キンドル本)のご紹介

「なぜ、平凡なアイデアしか出せないのか?」について、【3つの理由と解決方法】を1冊にまとめた以下の書籍を出版しています。

  • 青戸けい『なぜ、平凡なアイデアしか出せないのか?【3つの理由と解決方法】』キンドル本、2019年

この書籍では、3つの理由心理的な理由テクニック的な理由に分けて解説しています。

そして、それぞれの理由の解決方法と「どのようなツール(助けになるもの)を使えば効果的か」について説明しています。

また、3つの解決方法に、どのように取り組めばよいかも説明しています。無理なく行動に移すためには、「ステップ分けて取り組む」方法が効果的です。

次の2つのステップに分けることで、無理なく取り組むことができる方法をご紹介しています。

  • ステップ1:心理的な解決ステップ
  • ステップ2:テクニック的な解決ステップ

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書籍(キンドル本)

【目次】

  • 第1章  平凡なアイデアしか出せない理由
  • 第2章  解決方法
  • 第3章  どのように取り組めばよいか

よろしければ、ご参考にしてください。

*1:参考文献(1)Darrell Mann『TRIZ 実践と効用 (1) 体系的技術革新』中川 徹 監訳、株式会社 創造開発イニシアチブ、2004年